2013.12.12(木)川崎フロンターレ、小宮山尊信選手が語る復興支援の大切さ
――今年で3回目になる『JPFAチャリティーサッカー』ですが、小宮山選手はこの意義をどのように考えていますか?
小宮山 JPFA(=日本プロサッカー選手会)は選手の代表なので、選手の気持ちや想いを僕たちが代表として出していますが、選手が直接東北の方々とふれあえる機会になるので、そういうところが意義だと思っています。
――小宮山選手自身もチャリティーサッカーに出場していますが、そのときの雰囲気はいかがでしたか?
小宮山 残念ながら昨年は出られなかったのですが、以前出場したときは観にきてくれるファン・サポーターの方と僕ら選手が一つになれる空気を感じました。真剣勝負ではありますが、その中に笑いがあったり、公式戦とは違ういい雰囲気があるので、普段の試合とは違って面白いですね。
――チームメイトではない選手と即興で試合をする難しさはあるものですか?
小宮山 サッカーをやっていれば、お互いのプレースタイルも知っていますし、メディアにも出ている選手もいるので、何となくですが性格も分かります。それにこういう機会に友達になれるので、特に難しさは感じないですし、むしろ楽しみの方が大きいですね。
――川崎フロンターレは、これまで『Mind-1ニッポンプロジェクト』など、チームとしても支援活動をしています。そういった活動を通して被災地に足を運んでどんなことを感じますか?
小宮山 『Mind-1ニッポンプロジェクト』は、毎年行っているのですが、「元気をあげよう」というようなことは考えません。そういうことではなく、僕たちが一緒にやって、一緒に楽しむ。それで被災地の方々に“何か”を感じてもらえたらいいなと思っているんです。陸前高田市では被災のシンボルとして残されていた建物が取り壊されました。復興はまだまだ時間が掛かりますが、そうすることが復興の一歩となって、その場所に新しい建物が立つ。そういう中で被災地の方々が少しずつ元気になっているというのは感じますね。
――子供たちとのふれあい活動で心掛けていることはありますか?
小宮山 特別に何かをしてあげようとか、復興支援だからどういうことをするとか、特にそういうことを考えずに、サッカーを通じて自然に子供たちの輪の中に入った方が、逆に仲良くなれると思っているので、自然体で子供たちに接することは意識していますね。
――選手会としては、グリーティングDAY(=ふれあい活動)、チャリティーマッチ、寄付プログラムを3本の柱に行っていますが、小宮山選手自身が今後この活動をどんなふうに進めていきたいですか?
小宮山 毎年、仙台でやっていますが、今後は他の地域のスタジアムでもやってみたいです。また、復興支援の方法は少しずつ良くなってきていると感じますし、それに合わせて、被災された方々が本当に望んでいる形で取り組んでいきたいですね。自分よがりでチャリティーに取り組んでいますというのではなく、被災地の方々の立場に立ったやり方があると思うので、そういうものを続けてやっていきたいなと思っています。
――現時点では、小宮山選手はチャリティーサッカーに参加できるか分かりませんが、仮に出場できる状況になった場合、どういったことを伝えたいですか?
小宮山 今回は、若手メンバーとレジェンドとの試合で、僕の場合、どちらにも属していないので(苦笑)。もちろん出場できれば、一生懸命にプレーして、一つの輪の中に入れればいいかなと思っています。特に、こういうプレーを見てほしいとかではなく、いい雰囲気を作るための一員として参加することが大切な目的だと思っています。
――全国のサッカーファミリーへのメッセージをお願いします。
小宮山 まず全国のサッカーファミリーの皆さんには、年末の忙しい時期、寒い時期ではありますが、ぜひチャリティーマッチをスタジアムで観てほしいです。スポーツを通じて、感じられることはとても多いと思いますし、観ることが復興支援に参加していることにつながりますから。ぜひ、皆さんには12月28日は一大イベントが開催されるということを認識してもらって、一人ひとりにできる形で『JPFAチャリティーサッカー2013』に参加してもらえればうれしいです。
――では最後に被災地を勇気づけるメッセージをお願いします。
小宮山 僕たち選手は、被災された方々の現状を忘れることはないですし、サッカー界全体で見守っていこうとしています。苦しい状況は続いているとは思いますが、決して孤独ではないですし、もしそういう気持ちになったときには、サッカーを観て見てください。そして、僕たちを含めて、全国のサッカーファミリーが支えているということを思い出してもらいたいです。