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2011.02.02(水)全クラブ訪問実施のお知らせ

当会は、先月24日より、当会の活動に関する当会会員からの意見聴取のため、全支部訪問を開始いたしましたので、ご報告申し上げます。
今回の支部訪問にあたっては、特に、現在、当会が行っているJFA及びJリーグとの協議事項に関する意見聴取を行い、今後の方針の指針とする所存です。
なお、当会の現在の活動のうち、現在、JFAやJリーグと協議を行っている主な項目は以下のとおりです。

①    年金退職金制度等、選手のセカンドキャリアにおける金銭給付制度の確立
②    FIFAルール(特に移籍制度、肖像権管理制度、紛争解決制度の是正)の実現
③    日本代表選手ペイメントの改善
④    日本代表選手負傷補償

①年金退職金制度等、選手のセカンドキャリアにおける金銭給付制度の確立

Jリーグが設立されてから早くも20年近くになり、多くの元Jリーガー、元日本代表選手が生まれておりますが、彼らの引退後、セカンドキャリアにおける経済的困窮、サッカー界における雇用機会の欠乏について、当会は、日本サッカー界の最も大きな課題であると考えております。
同様のプロスポーツにおいて、例えば、プロ野球であれば、プロサッカーと比較して、平均現役期間が長い上、高額な平均年俸を受け取るほか、退職金制度や年金制度が完備されております。また、昨今注目が著しいプロゴルフにおいても、プロサッカーと比較して、圧倒的に長い現役期間を送れることや、スポーツ実施人口の多さからティーチングプロなどの職業安定制度が存在します。
このような同様のプロスポーツと比較すると、プロサッカーは、平均現役期間が短い上、平均年俸も減少の一途をたどっており、退職金制度や年金制度もないことから、プロサッカー選手の地位は著しく不安定なものとなっております。また、引退後の生活不安を軽減させることにより、より選手がプレーに専念することが可能になり、日本サッカーのレベルアップにもつながります。
加えて、本年度(平成22年度)から、Jリーグは、キャリアサポートセンター(CSC)の予算を削減し、従前行われていた選手のセカンドキャリアへのサポート内容が著しく縮小しました。当会が昨年8月9月に行った全クラブ訪問においても、選手のセカンドキャリアに対する不安から、年金退職金制度等のセカンドキャリアにおける金銭給付制度の実現に関し、全クラブから強い要望が出ておりました。現役選手はもちろんですが、将来Jリーグ、そして日本代表を目指す子供たちのためにも、選手のセカンドキャリアにおける金銭給付制度の実現は絶対に必要です。
具体的には、まず、当会が現在実施している「退団一時金制度」の充実を図り、この制度を基に退職金制度を確立したいと考えています。しかし現在、資金が乏しく十分な金銭給付が選手に出来ておらず、JFA及びJリーグに対して、選手のセカンドキャリアにおける金銭給付制度の確立を要望しています。

②FIFAルール(特に移籍制度、肖像権管理制度、紛争解決制度の是正)の実現

こちらの点は昨年12月22日に開催いたしましたJPFAシンポジウムにおいても、ご説明させていただきましたが、当会では、従前から、JFA及びJリーグとの間で、特に以下の3点に関するFIFAルールの実現を求めてきています。

(ア)    移籍制度に関するFIFAルールの実現 ~トレーニングコンペンセーション(TC)制度の改善
移籍制度に関するFIFAルールであるRegulations on the Status and Transfer of Players(RSTP) によれば、移籍制度に関する根本原則としてFIFAルールは、選手の移籍の自由の原則を定めており、TC制度の構築にあたっても、この原則を無視することはできません。
しかしながら、現状、日本のTC制度では、FIFAルールにより定められている金額の約2倍のトレーニングコンペンセーションが設定されており、若手選手の国内移籍が大きく阻害されています。
一方で、FIFAルールにおいては、RSTPによって統一的なTC制度が構築されていますが、日本の制度は、Jクラブ及びJクラブユース出身者を対象としたTC制度と大学高校出身者を対象としたトレーニング費用制度という二つの制度が存在しています。同じ若手育成に対する補償制度でありながら、TC制度と比較してトレーニング費用制度が著しく低い金額となっていることから、Jクラブ及びJクラブユース出身の若手選手の国内移籍が大きく阻害されています。また、トレーニング費用制度が著しく低い金額であることは、特にJ2クラブを中心として、大学生等を大量に獲得し、短期間にて契約を終了するクラブが続出する結果を生んでおり、Jリーグのレベル低下の一因ともなっております。
そこで、当会は、JFA及びJリーグに対して、日本の移籍制度において、TC制度とトレーニング費用制度を統一し、その補償金額もFIFAルールにより定められている金額を超えない金額とすることを要望しています。

Regulations on the Status and Transfer of Players(RSTP)

(イ)    肖像権管理制度に関するFIFAルールの実現 ~選手による肖像権管理制度の実現
FIFAから加盟各国サッカー協会に通達されているサーキュラーレターNo.1171(最低契約条件)において、FIFA加盟各国サッカー協会はその規約を厳守しなければなりません。その規約内容は日本のプロサッカー選手の肖像権についても、選手の権利であることを前提として、選手の自由な管理が認められる必要があります。
肖像権が選手の権利であり、選手側が管理することは、欧州のサッカー界、アメリカ4大リーグ(MLB、NFL、NBA、NHL)では当然であり、世界の常識とも言えますが、現状、日本のサッカー界における肖像権管理制度は、JFAが制定する統一契約書で、一方的にクラブ管理が定められてしまっています。
なお、上記サーキュラーレターNo.1171においては、その他選手の最低契約条件に関する遵守事項が規定されています。肖像権管理を含め、選手の最低契約条件は、同じAFC加盟国で、FIFAランク144位のインドでさえ、その遵守が表明されているところであり、肖像権管理制度以外の面に関しても、JFA及びJリーグに対して、その遵守を要望しています。

(ウ)    紛争解決制度に関するFIFAルールの実現 ~国内紛争解決室(NDRC)の実現
同じくFIFAからJFAにも通達されている、サーキュラーレターNo.1129において、国内紛争解決室(NDRC)の設立が要求されています。
近年、Jクラブの経済状況から不当な解雇事案等も頻発しており、また、この点についても、同じAFC加盟国で、FIFAランク144位のインドでさえ、その遵守が表明されているところであり、当会は、JFA及びJリーグに対して、平成23年度からのNDRCの設置を要望しています。

③日本代表選手ペイメントの改善

昨年12月からお伝えしております通り、当会は、JFAに対して、日本代表選手ペイメントにおける試合ボーナス、大会ボーナスの改善を求めております。
現在の日本代表は、2010年ワールドカップ南ア大会において、アウェイ大会で初のベスト16を達成した他、2011年アジアカップカタール大会においても、ホスト国のカタールや、AFCの二大強豪国である韓国、オーストラリアを破って優勝し、目覚ましい活躍を続けております。
この点、JFAは、日本代表をコンテンツとした事業収入として、日本代表スポンサー収入、放映権収入、入場料収入、商品化収入を得ており、大きな収益の柱になっています。このような日本代表をコンテンツとした事業収入は、日本代表の活躍に伴い大きく増加してきたことから、日本代表選手の貢献度が大きいことは明らかです。
しかしながら、一方で、当会の調査によれば、各年度における、日本代表選手ペイメント総額の日本代表をコンテンツとした上記収入に対する割合は、極めて少ないと推測されます。現在、正確な数字を把握するため、JFAに対して情報開示を求めています。
また、代表選手は日の丸を背負い、国の代表として誇りを胸にピッチに立ちます。そして、勝利した時は賛辞で迎え入れられますが、敗戦時には代表選手自身が大きな批判の的になります。ピッチに立つ選手たちが感じる、国を代表する責任の重さは計り知れません。サッカー日本代表は日本サッカー界の頂点であり、その責任に対する対価も日本の頂点でなければなりません。そうすることにより、より日本代表の価値が上がり、より多くの人々が敬意を表し、より多くの子供達が日本代表を目指し、そのことが日本代表のレベルアップにつながり、しいては日本サッカー界の発展につながると信じています。
よって、当会は、JFAに対して、日本代表選手の待遇改善を強く要望しています。

④日本代表選手負傷補償

現在、日本代表試合において選手が怪我した場合、その治療費はJFAが負担していますが、その怪我に伴う選手の損失(その後のリーグ戦欠場に伴うスタメン落ち、翌年年俸における不利益、その他欠場試合における出場給、勝利給など)については、選手に対して、一切直接補償がありません。以前は、選手に対する所得補償制度が設けられておりましたが、JFAが選手側の了解なく一方的に中止してしまっています。
日本代表試合は日本国を代表する試合であり、ファンからも最も期待される試合であり、通常のリーグ戦を超える大きな負担を伴います。日本代表選手は、日本代表の勝利のため、自らの怪我を恐れずプレーに専念しており、このようなリスクを恐れない意識が日本代表の躍進につながっております。昨年10月の国際親善試合や今回のアジアカップなど最近の試合でも、残りのリーグ戦を全試合欠場する可能性が高い、骨折という大怪我が発生しており、このような怪我による選手の損失は甚大なものになっております。
そこで、当会は、JFAに対して、日本代表試合における怪我に対する補償制度の構築を要望しています。

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