2016.12.23(金)チャリティーサッカー2016 ふれあい活動“グリーティングDAY” in 岩手
午後から開始となったサッカー教室では、参加する子どもたちを前に、福永さんからは「元気よく楽しくやって、楽しい時間にしましょう」、米山さんからは「僕も楽しむので、みんなも楽しみましょう」、下村さんからは「せっかくの出会いですので、貴重な時間にしましょう」とあいさつがありました。
まず、子どもたちがドリブルをしながら、下村さんや米山さん、山田高校サッカー部の選手の皆さんにボールを当てるトレーニング。懸命にボールを当てようとしますが、下村さんや米山さんは、巧みに子どもたちのボールを交わします。すると、進行役の福永さんが子どもたちを集め、どうすれば当てられるかの意見を募りました。「できるだけ近づいて、蹴る前にキックフェイントを入れたり、後ろから気付かれないように近づいたりしてみよう」と福永さんがアドバイスをすると、子どもたちは少しずつボールを当てられるようになりました。
下村さん、米山さんと高校生たちが、ドリブルしているボールを子どもたちから奪いに行くというルールに変更すると、最初はすぐにボールを奪われてしまいました。ここでも、福永さんが子どもたちの意見をまとめ、「周りをしっかり見よう。ボールタッチが大きくなり過ぎないように、細かく触ろう」と助言すると、ボールを奪われなくなる子が増えました。ほかにも、手をつないで何人かが一緒にドリブルするトレーニングでは、福永さんが「1人だけ先に行ってもダメだよ」と声をかけ、みんなで力を合わせる大切さを伝えていました。福永さんは、どうすればうまくいくかを常に子どもたちに問いかけ、それをまとめた上で助言を与えることで、子どもたちの『自分でものごとを解決する力』を引き出そうとしていました。それはサッカーだけにとどまらず、震災復興という難題にこれから立ち向かう子どもたちの問題解決能力を高める狙いもありました。
最後に、いよいよ選手とのゲームです。まず、福永さん、下村さん、米山さんが子どもたちに混ざってプレー。3人の華麗なテクニックに子どもたちも驚いた様子。その後6〜8人のチームを作り、福永さん、下村さん、米山さんの選手会チームと対戦。さすがのテクニックで子どもたちのチームからゴールを奪う選手会チームでしたが、最後に対戦した高学年チームはカウンター攻撃でゴールを奪い、3人も必死に応戦。好勝負を演じ、大いに盛り上がりました。
最後に、参加した3人からのメッセージが贈られました。
福永さんは「常に前を向いて、自分だけじゃなく家族や地域の人たちと好きなことができるように頑張ってください」。米山さんは「どうしたらうまくできるか考えて取り組んでいけば、上達して夢に近づきます。あきらめずに続けてほしいです」。そして、「自分が置かれた状況でベストを尽くせる子は目標に近づけます。お互い頑張って成長していきましょう」と下村さん。
子どもたちを代表して地元クラブ・FC山田のキャプテン芳賀悠斗くんから「ドリブルのやり方が学べて、ゲームも楽しかったです」とお礼の言葉があり、記念に3人のサイン色紙が参加した子どもたち全員に配られました。
大きな声で「また来てね!」と言いながら手を振る子どもたちに見送られながら、今回のふれあい活動は終了。福永さん、下村さん、米山さんを乗せたバスは会場をあとにしました。山田町の子どもたちにとって、また参加したOBたちにとっても夢のような、そして貴重な体験となったことでしょう。
【ふれあい活動後のOBコメント】
●福永泰(元浦和ほか)
「楽しい、のひとことでした。僕らが楽しんでやるという気持ちが、参加してくれている子どもたちの楽しさにもつながると思って、短い時間でしたがサッカーの楽しさ、みんなで活動する楽しさを伝え、少しでも前向きになってほしいと思って取り組みました。
今は大人が先回りして用意してあげるものが多い時代で、子どもたちが受け身だと感じることが多々あります。基本スタンスとしては、ルールの中でまずやってみて、失敗が起こる中でどうするか…と自発的に考えて解決する力を小さい頃から習慣化すべきだと思い、今日のトレーニングを構成しました。震災復興も、困難な状況の中でいろいろなことを考えて解決しなければいけません。難しい状況下でも、ネガティブではなくポジティブに考えるように変えていけたらうれしいです。今日のトレーニングでも難しいなと思うのではなく、考えてこうやればうまくいくと、難しい状況を自分の力で1つ変えられたことを自信にしてほしいし、子どもたちの今の生活にもプラスに働いてくれればと思います」
●下村東美(元C大阪ほか)
「子どもたちとふれあって元気な姿は見られましたが、どういう心の傷を負ったのかなどすべてのことまではわかりません。でも、限られた時間の中で少しでも多く楽しんでもらうのが目的なので、一緒に楽しむことができて良かったです。実際にバスの車窓から見ていても、復興が進んでいる部分とまだまだの部分が交錯している風景が目に移りました。復興は物を作って整えるところもあれば、心と心とのつながりで構築されるものもあり、いろいろな形で地域に関わることに意味があると思います。
子どもたちは今、サッカーが好きだからやっていると思いますので、目標や夢を持って、全力でサッカーにひたむきに向き合ってほしいです。今日の一生懸命な姿を見て、頑張ってくれるだろうと思いましたので、応援していきたいと思います」
●米山大輔(元C大阪ほか)
「子どもたちがすごく元気で、逆に僕たちが力をもらいました。活動後の達成感もあったし、一緒に汗をかいてすごく楽しかったです。子どもたちが前向きに生活しているところを見て逆に励まされ、自分の生活についても考えさせられました。実際に被災地を見ると、いつも以上のものを与えてあげたいという気持ちにさせられます。サッカーがしたいという思いも伝わってきて、サッカーの力の大きさを感じさせられましたし、ボール1つで元気になれるサッカーのよさも改めて感じることができました。今後もサッカーはこれだけ楽しいんだと伝えていきたいし、僕らの年代になってもサッカーを続けてもらえるような取り組みも続けていきたいです」