2016.01.22(金)チャリティーサッカー2015 ふれあい活動“グリーティングDAY” in 宮城(2日目)

この日、選手・OBの方々は、会場入りする前に、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町を訪れました。参加者の中には既に復興支援活動でこの町を訪れた方もいましたが、かさ上げなどによって町の風景は日々変わっています。津波による被害の大きさを物語る防災対策庁舎の前で、参加者は被災した地元の方のお話をじっくり聞いていました。
その後、登米市の会場に移動し、参加者の方々は3チーム30人の小学生とご対面。最初は少し子どもたちも緊張気味でしたが、井手口さんが自己紹介で「横浜F・マリノスの中村俊輔選手です!」とご挨拶(?)するなどして緊張をほぐすと、楽しい活動が始まりました。
この日のふれあい活動は、指導実践プログラムということで、まずは2グループに分かれて10のトレーニングメニューを子どもたちに指導しました。
たとえば「僕もこういう指導は初めてですが、一緒に楽しみましょう」と挨拶した兵藤選手。パスとボールコントロールのメニューで大切なことを、子どもたちと会話しながら教えると、子どもたちの動きも、互いにかける声も、変わっていきます。子どもたちは練習の中で気づいたことを高めようと積極的にプレーします。そして指導する方も、互いのディスカッションを通し、サッカーを教えること、そしてサッカーの楽しみをあらためて感じます。
さらに嬉しいプログラムが追加されました。一通りの練習プログラムが終わったところで、手倉森コーチの提案により、小学生チームとJリーガー&OBチームの対戦が行われることになりました。子どもたちは憧れの選手たちと同じボールを追いかけ、ゴールを目指します。Jリーガーチームが2点を先行し、しかもコーナーキックの場面では山岸選手が攻め上がる、どこかで見たような場面も生まれました。しかし惜しくも(?)そのヘディングは入らず。そのカウンターから子どもたちがゴールを決めるなどして、試合は2-2で終わりました。最後に、みんなが笑顔で記念撮影。選手たちからは、サイン色紙や記念品がプレゼントされました。
東日本大震災の発生からもう少しで5年が経とうとする被災地では、人々が復興への道を少しずつ歩いていることが感じられる反面、まだまだ解決すべきところがあります。そのような日々の中で、サッカーを楽しむことが、人々の大きな支えになることを参加者の方々は実感しました。
「今回の活動で感じたことを、自分の立場で、記憶を絶やさないように、発信していきたい」とは、冨田選手。大事なのは、東日本大震災で起こったことも、被災地の現状も、サッカーの楽しさも、伝え続けること。今回の活動もまた、その大きな一歩となることでしょう。
【ふれあい活動後の選手・OBコメント】
●手倉森浩さん
「子どもたちも明るくて元気でした。町はまだ元通りに戻っていないのですが、こういう活動を行うことで、子どもたちの心が少しずつでも回復できていることを感じられて良かったです。それと同時に、まだまだ被災地に寄り添い続けなければいけないと思いました」
●山路嘉人さん(OB)
「いろいろな立場の人が、ひとつのサッカーファミリーとしてこうして活動できることの意味は大きいと思います。今回、これだけ選手・OBが参加してくれて、子どもたちにとっても忘れられない経験となったでしょう。こうしていいご縁が続いていってほしいと思います。被災してからもうすぐ5年目になりますが、記憶が風化している場所もある中で、多くの人たちがこの経験や見聞きしたものを伝え続けてほしい。そのための協力を今後も続けていきたいです」
●山岸範宏選手(山形)
「ここ二日間で小中高生と一緒にプレーできたのは、僕にとっても貴重な経験でした。僕が今所属している山形から東北の被災地まではそう遠くない距離ですし、機会を見つけてまた来たいと思います」
●大原卓丈選手(福島)
「僕は普段の所属チームで復興支援活動をしているのですが、そのたびに子どもたちから逆に元気をもらっています。今日も本当に楽しくて、僕の方が楽しんでいるのではないかと思うくらいです。子どもたちにとっても今日のふれあい活動が良い思い出になると嬉しいです」
●富山貴光選手(大宮)
「子どもたちの熱い思いや、サッカーを楽しんでいるところを見て、僕もサッカーをもっと楽しんでプレーしたいと思いました。僕ももっとうまくなって、子どもたちに影響を与えられるような選手になりたいと思いました。改めてサッカーの素晴らしさを感じた二日間でした」
●兵藤慎剛選手(横浜FM)
「こういう活動を風化させないように続けることが大事です。サッカーを通じて子どもたちとふれあって、笑顔を見られるのは僕たちも励みになります。今回は小中高生といろいろな年代の子どもたちと一緒にボールを蹴れて、有意義な時間でした。選手生活にも生かしたいと思います」
●冨田大介選手(徳島)
「実際に被災地で震災の爪痕を目の当たりにして、現地でしかわからない甚大な被害の状況を知りました。そういう状況で復興のために頑張っている子どもたちに、これからもサッカーを通じて楽しさを伝えられればと思います。僕たちも自分の立場で、記憶を絶やさないために、継続的に発信していければと思います」
●高田保則さん(OB)
「僕はこれまでにも南三陸でのサッカー教室をお手伝いする機会をいただいて、今回はこの場所でこのように指導者として関わることができました。僕はOBですが、選手の皆さんにとっても、子どもたちとふれあうことで大きな刺激になると思います。僕自身、被災地の変わっていく状況、あるいはまだまだ変えられないところなどを実際にこうして見ることができたので伝え続けたいし、そこで子どもたちが一生懸命にやっている姿を見られたことも大きいですね。本当にみんな、いい笑顔でした。今回参加させていただいた二日間では小中高生と一緒にサッカーができましたが、みんないい顔、楽しそうな顔でボールを追いかけてくれたことが印象に残っています」
●井手口純さん(OB)
「昨日は中高生、今日は小学生と色々な年代の子どもたちとふれあえて貴重な体験だった。今日の小学生もみんな元気で、サッカーを楽しみながらやってくれて本当に良かった」
●島田裕介さん(OB)
「私は今、埼玉で小学生年代を主に教えているのですが、今回は宮城で指導をして、どこでやっても、場所に関係なくサッカーは楽しいものだと感じました。子どもたちが、現役選手と一緒にプレーした経験が今後に生きてくれればと思います。プロサッカー選手になりたいという子もいたので、今日をきっかけに頑張ってくれたらと思います」