まず、午前中に選手たちが向かったのは、福島第一原子力発電所が立地する大熊町の子供たちも参加した東山小だ。この東山小は原発から100キロ以上離れているため、放射線に関する心配の声はあがっていないという。こういった現状を踏まえ、東山小・佐藤校長は「運動会でも砂ぼこりを上げて子供たちはやっていましたから、保護者を含めて放射線に関する心配の声はありません。ただ、地震発生以降、大人も子供も気持ち的に沈滞ムードが漂っていると感じているので、今回のサッカー教室を通して皆の気持ちが盛り上がってほしいです」と、サッカー教室に対する期待と願いを話していた。

　前回同様、サッカー教室のスタートは選手からの挨拶「今日は笑顔で楽しいサッカーをしましょう！」といった大きな掛け声からはじまった。今回のプログラムは「鬼ごっこ」「だるまさんが転んだ」「ミニゲーム」といったプログラム構成だ。各小学校に集まる児童のスポーツ経験などを踏まえ、ミニゲームの時間配分を変更したり、選手たちが工夫を凝らしてプログラムを構成している。そんな手作りのプログラムは「自分から参加したいと言っていたので、今日は凄く楽しみにしていました。サッカーだけではなくて、遊びの要素があって凄くいいですね（2年生男子児童保護者）」と、今回も大好評。もちろん、子供たちにとってもだ！「僕たちは3月11日の東日本大震災の後、目に見えない放射線などで、どうすればいいのか全然分かりませんでした。今は放射線のことを勉強して、前よりも不安はなくなりましたが、それでも心配です。そんな中、こうして楽しくサッカーができて、嫌なことをすっかり忘れました。今日の体験は一生の宝物になります」自分たちが抱える現状を把握しながら感謝の気持ちを話す児童代表のそら君（東山小6年生）は、プロサッカー選手を目指す児童のひとり。彼以外にも「ゲームでパスをもらったことが嬉しかった（ふうた・5年生）」「Jリーガーとゲームができて本当に楽しかった（ゆうり・6年生）」といった笑顔いっぱいの子供たちを見て、佐藤校長は「ボールひとつでこれだけ人は仲良くなれるんだと言うことを、改めて教えてもらいました」と、大盛況に終わったサッカー教室を振り返る。

　司会を勤めていた東山小の遠藤教頭は「大熊町の子供たちを楽しませてあげられたことが何よりもよかったです。また、大熊町の子供とたちと東山小の子供たちがサッカーを通じて触れ合えたこと。楽しい時間を一緒に過ごせたこともよかった。日本の将来を担う子供たちにサッカーを通じて『人と関わることが何よりも大事なんだ』ということを今後も伝え続けてほしい」と、キャラバンへのエールを送る。

緊張した面持ちで校長先生の話を聞く選手たち	被災地、宮城出身の丹野選手が挨拶
子供たちに好かれる井上選手	子供たちと笑顔でだるまさんが転んだ！
リフティングを披露する村田選手	必死にゴールを守る福田選手

支援活動パートナー