社会貢献活動

2011.07.03(日)「ふれあいサッカーキャラバン」宮古市立花輪小学校

午後のふれあいサッカーキャラバンの会場となった宮古市立花輪小学校に集まったのは、宮古市内の被災を抱えた小学校を含めた計8校、総勢97人の児童たち。「宮古市の子供たちがもっと元気になって災害に負けない子供たちになってほしい」という想いから、花輪小が震災で被害をうけた学校や多くのスポーツ少年団に声をかけ、合同でキャラバンを行うことになった。このような展開ができたのも、花輪小が津波による直接的な被害をうけなかったからなのだが……。

「直接的な被災はうけなかったのですが、知人や親戚を亡くした児童はかなりいますし、保護者の方々の中には仕事を失った方も大勢いますから、子供たちなりのストレスがあったと思うんです。気持ちが不安定になりながら新学期のスタート(4月25日)まで過ごしてきたと思いますから、今日は子供たちに心のリフレッシュをしてほしいです(渡邉先生)」

 震災から数ヶ月がたとうとする中、ここにきて「夜眠れない。体調が悪い」といった児童がいるそうだ。病院の診断によると、震災の影響によるメンタル的なことが原因だと診断された。メンタル面から言えば、児童の成長の場を失ったことも、間接的な被災だろう。

「市内の陸上や水泳の記録会など、子供たちが目標としていた機会がなくなってしまった。小学生は小さなことでも凄く成長します。だから、その機会を失ってしまったことが残念でなりません」と、藤田校長。それだけ、今日のキャラバンを迎える花輪小のグラウンドには「成長の場として色々な学校に使ってほしい」といった希望が詰まっているのだ。そうした状況を踏まえて、花輪小のキャラバンはスタートを迎えた。

 まず、はじまったのが1個ずつボールを持って各児童がドリブルをするウォーミングアップ。もちろん、大勢の子供たちと触れ合えるよう、考えて構成されている。ただのドリブルではなく、ボールを選手たちが奪いに行くというプログラム内容だ。ウォーミングアップ後は、各チームでボールを渡していくチームリレーのスタート。ボールの扱いに慣れている児童が多く、リレーは短めに調整し、その分、選手と児童による試合の時間を多くとり、いよいよ試合がはじまった。サッカー経験者が多く参加しただけに、子供たちにより高いプロの技術を魅せようと、サッカー教室終了直前には藤本選手によるフリーキックを何度も披露。キックのスピードを体験したい子供たちは「やりたい!やりたい!」とGKに自ら志願! 藤本選手の蹴り方をしっかりと見ている子供たちの姿が印象的だった。

 選手のプレーを笑顔いっぱいに味わった子供たちを見て、保護者の方々は「こういう選手になりたいなとか、目標を見つけてくれれば(4年生男子保護者)」「サッカーをしながら仲間を大事にする気持ちを育んでほしい(5年生男子保護者)」「プロと一緒にプレーして凄く勉強になったと思う。もっとサッカーに打ち込んでくれれば(4年生男子保護者)」と、よりサッカーに取り組む姿を願い、子供たちもサッカーへのモチベーションに変えていた。

「ゴールはできなかったけど良い経験ができた。これからもサッカーを頑張っていきたい(れん・5年生)」「藤本選手のフリーキックを体験できてよかった(けいた・3年生)」「Jリーグの選手とプレーできて、プロを目指してもっと頑張ろうと思った(りょう・5年生)」

 そういった子供たちの気持ちは「みんなの元気な姿と笑顔をみられて本当によかった(赤井)」「子供たちが笑顔でボールを追いかけている姿をみた時、支援活動に参加して良かったと思った(西澤)」「こういった活動をこれからも続けていければ(渡部)」といったように、選手たちの中にも残っている。また、「プレーを通じて子供たちの目標になること」もサッカー選手の仕事だと、コーチ役を務めた岩手県遠野市出身・菊池コーチは言う。

「僕たちの仕事はサッカーを通して、子供の純粋な笑顔とか喜び、その気持ちを表現させてあげることです。復興に向けて大事になるのは、子供たちに大人がどういう姿勢、後ろ姿をみせられるのかだと思います。東北を立て直していくのは今日の子供たちだと思いますから、模範となるような後ろ姿を大人としてみせていきたい」

 余震がある度に折れそうになる小さな心がある。だからこそ、このキャラバンのように大人と子供の心が一緒になって辛さを忘れることのできる機会や場が、被災地には必要なのだ。子供たちの楽しんでいる姿をみるというのは、大人たちの楽しみでもあるのだから。


子供たちをドリブルで抜きさる西澤選手

子供たちにツッコミを入れる小川選手

子供のタックルをかわす赤井選手

子供たちと笑顔で走り回る渡部選手

得意のフリーキックを披露する藤本選手

真剣な眼差しで子供たちを指導する菊池コーチ
名称ふれあいサッカーキャラバン“サッカーの力で日本を元気に!”
主催一般社団法人 日本プロサッカー選手会
支援活動パートナージブラルタ生命保険株式会社
ゼビオ株式会社
協力宮古市立花輪小学校
開催日時2011年7月3日(日)15時00分~
コーチ(OB)菊池新吉(栃木SC ゴールキーパーコーチ)
現役選手(5名)赤井秀行(栃木SC)
西澤代志也(栃木SC)
渡部博文(栃木SC)
藤本淳吾(名古屋グランパス)
小川佳純(名古屋グランパス)

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