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2011.03.09(水)当会の労働組合化及び当会からの要望について

 当会は、JFA及びJリーグとの間で、今後の日本サッカー界について真摯な議論を行うため、2011年2月28日、当会臨時総会において、労働組合化を決議しましたので、その旨ご報告するとともに、従前から、JFA、Jリーグに対して、要望している事項について、ご説明させていただきます。

1. 労働組合化について

 当会では、これまでの歴史の中でも、度々、労働組合化の議論を行って参りましたが、JFA犬飼(前)会長としっかり対話し理解を深め合い、お互いを尊重し合い、またJリーグとも労使協調路線をとる中で、これまでは労働組合化を見送って参りました。

 しかしながら、犬飼(前)会長辞任以降、JFAとの様々な協議が実質不可能になり、藤田会長による直接面談が幾度となく拒否され、また、JFAの担当弁護士からは、すべて書面による連絡を要望されているため、ここに全く対話はありませんでした。また、先月22日には、日本代表ペイメント問題についてJFAから関連する情報の一部のみが一方的に開示されるなど、選手との対話が全くない状況が続いておりました。

 また、当会が加盟するFIFPro(国際プロサッカー選手会)の実例を見ても、主要国の選手会は労働組合であり、各国の協会・リーグと選手会が対話し、尊重し合うことにより自国の代表チームとリーグを強化し、サッカー文化を発展させている歴史があります。

 このような中で、当会は、本年1月と2月に全38クラブ訪問を行い、当会会員全選手の意見を聴取したところ、労働組合化することにより、日本サッカー界の未来のために、合法的にJFA、Jリーグとしっかり協議を進めていく形が望ましいとの意見が多数を占め、2月28日の臨時総会をもって、労働組合化を決議した次第です。

 なお、一部、当会が3月に開催される日本代表試合をボイコットするために労働組合化の準備を進めているなどと報道がされておりますが、そのような事実はなく、今回の労働組合化の決議は、あくまで真摯に日本サッカー界の将来について議論することを目的としており、当会は、今回の問題に関して、引き続きJFAとの間で協議を進めたいと考えております。

 次に、当会からの要望事項について、ご説明させていただきます。

2.セカンドキャリアにおける金銭給付制度(退職金制度)の必要性について

 1993年Jリーグが創設以降、急速な勢いで日本サッカー界は発展してきました。これはひとえにJFA・Jリーグ・選手、そしてそれを支える多くの人々の力であると考えています。

 しかし、現在のサッカー界はヨーロッパ主要国(リーグ)が牽引し、多くの有力選手はヨーロッパでプレーしています。ヨーロッパ主要国とJリーグとの一番の違いは、選手のセカンドキャリアにおける保障制度が挙げられます。

 特にヨーロッパの主要国は、選手の退職金制度が一般化されており、選手の社会的地位がしっかり保たれており、同時に選手は現役中プレーに専念できる環境にあります。そのことで、多くの人々がサッカー選手を安心して目指せ、選手の地位が高まることにより、自国の代表・リーグの強化と発展につながっています。しかしながら、現状のJリーグにおいて、退職金制度その他セカンドキャリアにおける雇用創出制度はなく、選手は不安を抱えながらプレーしている実状があります。そのことがJリーグ発展の妨げの一つになっていると考えています。人々が安心してプロサッカー選手を目指すためにも、日本サッカー界における選手の地位向上は早急に是正されるべきものだと考えております。

 そこで、当会は、選手のセカンドキャリアにおける金銭給付制度として、退職金制度の設立を目指し、JFAに要望しています。そのことが、よりJリーグと代表チーム強化につながり、しいては日本サッカー界発展につながると考えています。

 一部、当会が日本代表待遇の改善のみを要望しているとの報道も見られますが、当会は、当会会員全員の問題として、選手のセカンドキャリアにおける金銭給付制度の確立やFIFAルール(特に移籍制度、肖像権管理制度、紛争解決制度の是正)の実現の問題も要望しておりますので、ご留意をいただきたく存じます。

3.当会がJFAに予算確保を要望する理由について ~JFAの選手分配比率は約1%

 当会が、特にJFAに予算確保を要望する理由は、Jクラブがその売上高のうち40%程度を選手人件費として分配しているのに対し、JFAがプロサッカー選手の稼働に伴い得ている収入のうち、選手に対する分配割合が著しく低いことが挙げられます。

 この点、JFAがこれまでに開示した情報によれば、JFAがプロサッカー選手の稼働に伴い得ている収入には、日本代表、Jリーグ、天皇杯の試合に関する収入があります。これらの収入は、JFAの収入内訳のうち、日本代表関連事業収入だけでなく、事業関連事業収入、競技会関連事業収入(競技会開催事業収入、競技会収入双方を含む)など多岐にわたり、これらの収入総額は、JFAが公開している収支報告書によれば、以下のとおり、年間100億円から120億円で推移しています。

 もちろんアマチュア選手が参加している試合もあり、これらの収入全てがプロサッカー選手の稼働に伴うものではないことも事実ですが、プロサッカー選手なくしてスポンサー収入や、テレビ放映権収入、入場料収入などの収益を獲得することは困難であることからすれば、これらの収入のほとんどをプロサッカー選手の稼働に伴い得ていることは明らかです。

(単位:百万円) 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平均値
代表関連 4947 3717 4692 2723 4019
事業関連 3552 4949 4467 4707 4418
競技会関連 3054 3070 3167 2435 2931
収入合計 11553 11736 12326 9865 11370

*事業関連とは、日本代表に関するオフィシャルスポンサー(キリン、アディダスなど)収入とグッズなどの収入であり、プロサッカー選手の稼働に基づく収入です。

 一方で、これらの収入から選手に直接分配されているのは、JFAがこれまでに開示した情報によれば、日本代表選手ペイメントしかなく、その年間分配総額は、先日のJFAのリリースによれば、以下のとおりとなっています。そして、上記プロサッカー選手の稼働に伴いJFAが得ている収入に占める選手分配比率は以下のとおりとなっています。

(単位:百万円) 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平均値
代表関連 61 106 108 325 150
事業関連 0.53% 0.90% 0.88% 3.29% 1.32%

*日本代表選手に対する選手ペイメントのみ。Jクラブに所属する選手については、日本代表選手の包括肖像権料の選手に対する分配もありません。

 前述のとおり、同じくプロサッカー選手の稼働に伴い収入を得ているJリーグのクラブであれば、選手人件費の売上高比率は約40%程度(下記URL参照)であり、一般企業の売上高人件費率と比較しても極端に低いことから、JFAの選手分配比率が著しく低廉であることは明らかです。http://www.j-league.or.jp/aboutj/jclub/2009-10/005.html

 そこで、当会は、日本のサッカー界を統括するJFAに、Jリーグという国内リーグの人気拡大のため、選手のセカンドキャリアにおける金銭給付制度(退職金制度)の確立や日本代表待遇の改善のための予算確保を求めております。

4. さいごに

 日本代表選手は、日本代表の名誉と誇りをもって国際試合を戦い、2010年ワールドカップ南ア大会において、アウェイ大会で初のベスト16を達成した他、2011年アジアカップカタール大会においても、ホスト国のカタールや、AFCの二大強豪国である韓国、オーストラリアを破って優勝するなど、これまでにない実績を残してきております。この実績により、既に日本はFIFAランク15位にまで上がりました。

 そして、現在の日本代表選手は、海外クラブに所属する選手が多くなる中で、彼らは、いつも日本のファンのために何ができるかを考え、選手発案のもと、全選手で、ファンサービスを始めとする活動に取り組んでいます。日本に所属クラブがない中で、当会は、彼らのこのような意欲に応えるべく、日本において活動する場を積極的に作っていくことも現在準備中です。

 当会がJFAに対して行っている要望事項は、このような選手としてやるべき義務をこれまで果たし続けた上での要望であることを最後にご理解いただけますと幸いです。

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