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2011.03.10(木)日本代表選手ペイメント問題に関する当会の考え方について

 平成23年2月22日付けJFAのリリース「日本代表選手ペイメント問題に対する当協会の考え」によれば、当会の要望について、JFAは過大な要求であるとご指摘をいただいておりますが、3月9日付けの当会リリース「当会の労働組合化及び当会からの要望について」で、ご説明させていただいたとおり、JFAがプロサッカー選手の稼働に基づき得ている収入のうち、プロサッカー選手の稼働の対価として、JFAが選手に直接支払っているのは日本代表選手ペイメントのみであり、その収入に占める割合は、平均1%程度に過ぎません。同じくプロサッカー選手の稼働に伴い収入を得ているJリーグのクラブであれば、選手人件費の売上高比率は約40%程度であり、一般企業の売上高人件費率と比較しても極端に低いことから、JFAの選手分配比率が著しく低廉であることは明らかです。
 そして、当会の試算によれば、当会の要望が認められたとしても、その合計金額のプロサッカー選手の稼働に伴いJFAが得ている収入に占める割合、すなわち、選手分配比率は年度平均5%程度にしかなりません。
 以下にご説明いたしますが、当会の要望は、JFAの収入規模、プロサッカー選手としての相当な対価、JFAと選手の公平性、JFAのコンプライアンスの観点から、相当なものと考えておりますので、ご理解をいただければ幸いです。

1.日本代表に関連する収入について

 まず、JFAは、日本代表に関連する収入として、「日本代表関連事業収入」のみを問題としています。
 しかしながら、日本代表に関連する収入はこれだけではありません。JFAのリリースによれば、JFAのいう「日本代表関連事業収入」には、日本代表チームパートナーであるオフィシャルスポンサーのキリングループや、オフィシャルサプライヤーであるアディダスジャパン、サポーティングカンパニー6社やマッチスポンサーから得ている収入は含まれていません。キリングループやアディダスジャパンが日本代表の最も大きなスポンサーであることは誰の目にも明らかであることからすれば、選手に対する分配を議論する上でも、これらの収入を合算した金額を前提にする必要があります。
 そして、これらの収入が内訳されている「事業関連収入」を加えた収入を考えれば、JFAは、毎年度、日本代表に関連する収入として、約70億円から90億円程度の収入を得ています。なお、今期についてはワールドカップ、アジアカップの関係から100億円を超える収入があると予想されます。
 JFAは、2月22日付リリースの中で、日本代表に関する収支が赤字であるかのような主張を行っています。
 ただ、キリンやアディダスといった日本代表スポンサー収入、商品化収入を加えた収入が毎年度約70億円から90億円程度であり、日本代表関連事業支出及び事業関連支出が毎年度約40億円から50億円程度であることからすれば、日本代表に関する収支は、毎年度約20億円から35億円程度の黒字であり、日本代表に関する収支が赤字であるなどという事実はありません

2.日本代表に関連する支出について

 JFAの2月22日付けリリースによれば、日本代表選手に対する待遇として、「代表選手のコンディション維持のための体制」が主張されています。
 しかしながら、「代表選手のコンディション維持のための体制」は、日本代表戦で日本が勝利することで、JFAが日本代表に関連する収入を増加させるための必要となる経費であり、選手に対する待遇とは全くの別問題です。実際、このような経費支出を通じて、日本代表戦で実績を収めた結果、JFAの日本代表に関連する収入はここ20年で大きく増加してまいりました。そして、このような環境整備を利用しているのは、選手だけでなく、JFAの役員、監督、コーチ、スタッフも含まれますので、選手に対する待遇として論じることは適切ではありません。
 また、JFAが、事業者として、その事業に伴い収益を拡大するための経費を自ら負担するのは当然であり、それを選手に対する待遇とするのは誤りです。当会は、プロフェッショナルに対する報酬として、相当な対価が支払われなければならないと考えています。

3.ワールドカップ南ア大会に関する選手ペイメントについて

 JFAは、ワールドカップ南ア大会に関して、代表選手に、大会ボーナスとして、最高2220万円支払ったとリリースされています。
 しかしながら、この数字は、3年間に亘るアジア予選、ワールドカップ南ア大会を通じた合計金額に過ぎず、年間約700万円が上限金額になり、ごく一部の選手のみです。すべての選手が受け取っているかのごとく報道されていますが、ほとんどの選手が受け取っておりません。
 そもそも、当会は、個々の日本代表選手が受け取っている金額の多寡を初めから問題にはしていません。むしろ、JFAのプロサッカー選手の稼働に伴う収入に占める選手分配割合は、平均約1%程度であり、その比率が著しく低廉であることから、現役、そして将来の全てのプロサッカー選手のために、セカンドキャリアにおける金銭給付制度の確立や日本代表選手ペイメントの改善のための予算確保を要望している次第です。

4.日本代表選手の怪我の補償について

 当会は、従前、日本代表選手の怪我の補償について、JFAの担当者より、選手に対する直接補償制度はなく、代表選手が所属するクラブの補償が存在するとの説明を受けて参りました。
  2月22日付けリリースには、選手に対する直接補償制度の具体的内容が何ら記載されておらず、選手もJFAから選手に対する直接補償制度について詳細な説明を受けていないため、当会は、引き続き、選手に対する直接補償制度の具体的内容について情報開示を求めたいと考えております。

5.代表選手ペイメント金額に関する当会からの要望の趣旨について

 JFAからは過大な要求であるとのご指摘をいただいておりますので、当会の要望の趣旨についてご説明させていただきます。

(1)勝利ボーナス(特に30万円以下の金額)のベースアップ
(2)JFA及び選手間における大会賞金の折半

 まず、(1)を求めている正確な趣旨は、ワールドカップ以外の大会、試合に関する勝利ボーナスが最高1試合あたり30万円に抑えられている点のベースアップです。ワールドカップの勝利ボーナスのアップを求めているとの報道がなされておりますが、それは誤りですので、誤解のないようにお願いいたします。
 現状の日本代表選手は、すべてプロサッカー選手で構成され、Jクラブ所属選手であれば、1試合あたり数十万円以上の勝利給を、海外クラブ所属選手であれば、1試合あたり数百万円にもなる勝利給を受け取っています。日本代表選手は、日本代表の招集を拒否する自由はなく、現状の日本代表の試合のスケジュールから、各クラブでの試合出場を犠牲にせざるをえないため、プロ選手としての報酬を失った上で出場しています。JFAは、日本代表選手を強制的に招集する以上、日本代表選手が失うこれらの報酬を補填する必要があります。この損失は、日本代表選出に伴う選手の価値拡大を大きく上回るものであり、明確な補填がない限り、日本代表選手は犠牲を負い続けます(さらに、日本代表試合等で負傷した場合、各クラブでの試合欠場が続き、日本代表選手は数百万円規模の報酬を失います)。
 また、その視聴率や観客動員から見ても、日本代表戦は、日本において最も価値の高いスポーツコンテンツです。このような価値の高いコンテンツにおける対価として、代表選手のプレッシャー、負担の大きさ、大怪我を被り、プロサッカー選手としてのシーズンやキャリアを棒に振るリスク、そしてワールドカップの勝利ボーナスが既に1試合あたり200万円と設定されていることを考えれば、当会は、日本代表戦の勝利ボーナスを1試合あたり最低100万円とすることは妥当なものであると考えています。
 また、(2)を求めている趣旨は、大会賞金は、各大会における選手及びJFAのスタッフが協力して、上位に進出するからこそ得られるものです。ワールドカップ南ア大会のベスト16についても、当時の日本代表選手及びJFAのスタッフの尽力があってこそ成し得たものでした。
 この大会賞金は、選手及びJFAのスタッフ双方の努力から生まれるものであり、当会は、この努力に対して公平に分配を行うという意味で、大会賞金を選手とJFAで折半することを提案しています。
  また、大会賞金がない大会についても、JFAは、スポンサー等から大会ボーナスを得ています。このようなボーナスも、選手及びJFAのスタッフ双方の努力から生まれ、公平に分配すべきものですので、当会は、JFAと協議して、分配を行うことを求めています。
 JFAの2月22日付けリリースには、1月に開催されたアジアカップ2011について、JFAが大会賞金を獲得していないにもかかわらず、選手に対して総額1億円以上支払ったかのような記載がなされていますが、当会がJFAの担当者からご説明を受けた内容によれば、JFAは、アジアカップの優勝に伴い、約2億円の収入を得ているとのことですので、JFAが何らの収入なく、選手に分配を行っているとの説明は誤っています

6.さいごに

 日本代表選手ペイメントに関する問題がここまで大きな問題となっているのは、これまでJFAがプロサッカー選手の稼働に基づき得てきた収入が、Jリーグの創設以来約20年間で大きく拡大してきているにもかかわらず、選手への分配についてはほとんど変わらない現状が続いていることに原因があります。歴代の日本代表選手がJFAに対して改善を申し入れてきましたが、その対応は先送りにされ続けてきました。
 冒頭に申し上げましたとおり、当会の要望が認められたとしても、当会の試算によれば、その合計金額のプロサッカー選手の稼働に伴いJFAが得ている収入に占める割合、すなわち、選手分配比率は年度平均5%程度にしかなりません
 当会の要望は、JFAの収入規模、プロサッカー選手としての相当な対価、JFAと選手の公平性、JFAのコンプライアンスの観点から、相当なものであり、何ら過大な要求ではないと考えておりますので、ご理解をいただけますと幸いです。

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