2016.12.17(土)チャリティーサッカー2016 ふれあい活動“グリーティングDAY” in 宮城(1日目)
初日の17日(土)の会場は、仙台市の宮城県第2総合運動場。17のJクラブから参加した24名の選手が、地元の中学生約100名とともにボールを使って汗を流しました。
参加選手は渡辺広大(山形)、坂田良太、山本大稀(以上、栃木)、松下裕樹(群馬)、宇賀神友弥(浦和)、岡本昌弘(千葉)、稲田康志(柏)、榎本達也(FC東京)、李漢宰(町田)、近藤祐介(相模原)、土屋征夫(甲府)、西川優大、國吉貴博、平出涼(以上、富山)、太田康介、作田裕次、可児壮隆、玉城峻吾(以上、金沢)、角田誠(清水)、関口訓充(C大阪)、伊藤大介(岡山)、木島良輔、小澤雄希(以上、讃岐)、相澤貴志(徳島)。※所属クラブは参加時
「観る」、「守備のテクニック」、「ボールを奪う」、「動きながらのテクニック」などのテーマに沿って設定された練習メニューを、選手たちは1人ずつ、持ち時間を決めて子どもたちに指導していきました。
ボールの奪い方など守備の指導ではディフェンダーの選手たちが中心となり、選手それぞれが自身の経験も踏まえながら指導を行いました。
渡辺選手は「いいじゃん、いいディフェンス!」とほめながら、要所でプレーを止め、「右利きの相手に対しては利き足と逆の左足の方向に追い込む。相手の苦手なこともイメージしよう」と守備の具体的な方法を指導。土屋選手は何度も「粘り強く!」と声をかけながら、球際でもう一歩頑張ることでボールが取れるケースを紹介していました。
太田選手が強調したのはアプローチの迫力。「それぐらいで行かないと相手は慌てないよ。ボールが出た瞬間に思いきってプレッシャーをかけよう」と伝授すれば、坂田選手は「みんな、いい声出てるよ!」と子どもたちの気持ちをうまく盛り上げながら、「今、受け手が下を向いたよね。相手の隙を見逃さずに奪いに行こう」とタイミングのコツを伝えます。
2時間半にわたり行われたふれあい活動は、グループごとに集合写真を撮影して終了しました。東日本大震災時、ベガルタ仙台に所属していた渡辺、関口、角田の3選手にとって、仙台は思い入れのある土地です。角田選手は「仙台とか宮城にいなかったら震災のことは忘れがちになるんですけど、つい最近、テレビで仙台のドキュメンタリー映画を観て、あらためてベガルタ仙台の存在の大きさを思い知らされました」と語り、「子どもとふれあうというのも、僕らの存在意義として、大事なことだと思います」と引き続き被災地に寄り添う活動を続けていく気持ちを示していました。
【ふれあい活動後の選手コメント】
◆平出涼(富山)
「地元のクラブ、自分がいたチームには毎年顔を出してふれあう機会はありますが、東北には来たことがなかったので、こうした機会があるのはうれしいです。いつもの練習よりは、着込んできました。
テーマごとに、子どもたちが楽しそうにやってくれるのでうれしいです。最初は緊張していたようですが、元気にやってくれたと思います。自分が子ども時代にはプロ選手に教わる機会はなかったので、こういう機会を増やしていけたら…と思います」
◆近藤祐介(相模原)
「指導は難しいですね。やるのと教えるのでは違います。教えるほうが100倍難しいです。ダラダラ話しても伝わらないし、逆に短くても伝わらない。わかりやすく、要点だけ伝えるのが難しいです。あとは雰囲気も大事。厳しくやるのもいいけど、年代によっては楽しくやらないと伸びない子もいるし、そういうのを見極めながらやるのも難しいです。その子をどれだけのせられるかとか、わかりやすく言い方も考えなければいけないです。自分が教わる立場のときは指導者の話がわからないなあと思っていたりもしましたが、自分が教える側になってみるととても難しく感じました」
◆坂田良太(栃木)
「こうして子どもたちとふれあえてうれしいですし、いい勉強になります。もともとみんな元気が良かったですけど、やっぱり元気が一番大事ですよね。
僕は熊本・益城町の出身ですが、熊本地震後にはシーズン中でしたが、1度帰らせてもらいました。生まれ故郷がこんなになっているのか…と信じられなかったし、時間が経つとすでに風化されがち。でも、大変な時期なので、これから自分にできることを考えていこうと思います。
実家は一部損壊でなんとか無事でした。家族も含めて身近にいる人の命は無事だったので良かったですが、よく遊びにいっていた友達の家は全壊してしまっていたし…言葉に表せません。離れていて何もできないのが本当に歯痒いですし、両親とか友達は『こっちは大丈夫だから』と言うんですけど、本当は大丈夫じゃないと思います。熊本でのふれあい活動“グリーティングDAY”にも参加します」
◆李漢宰(町田)
「自分は今も現役で常に教えてもらう立場にいる中で、教えるということがどれだけ難しいのかは感じましたし、頭の中でわかっていても、それを伝える、表現するという部分は難しいなと感じました。いざ自分がチームに戻ったときに、どういう意図でこの練習をするのかなどより考えるようになったので、今回をいい機会にしたいと思います。今後、何年くらい現役でできるかわかりませんが、いずれ自分が子どもたちを教えると考えた中で、今回をまたいい機会にしたいなと思いました。
子どもたちは、元気なグループと、あまり溶け込めていないグルーブがあったように感じます。ただ、本当に暗く下を向いているような子どもたちはいませんでした。東日本大震災では本当に苦しい目に遭った子どもたちもたくさんいたと思いますけど、それを感じさせないぐらい、サッカーが大好きなんだなと感じましたし、1つのボールを追いかける姿を見て安心しました。僕は、震災後初めてこちらに来ました。もっともっと復興させなければいけない部分はあると思いますが、僕が見ている感じではまったくそれを感じさせないぐらい元気で良かったなと思います」
◆ 角田誠(清水)
「仙台に来たのはベガルタ移籍以来なので、試合を除けば2年ぶりですが、仙台のことは常に気になっています。今は仙台を離れましたが、震災の時にはスポーツの大きさとか力をあらためて感じさせてもらいました。
普段僕らはプレーしている立場なので、あまりこういう指導の機会はないんですけど、自分が指導者になったときのことは常に考えているので、それを仙台でできたというのはうれしいですね」