社会貢献活動

2011.09.04(日)「ふれあいサッカーキャラバン」大船渡市立立根小学校

 

震災から約6カ月が経過した2011年9月4日。第4回「ふれあいサッカーキャラバン」が、岩手県大船渡市で行われた。今回参加したメンバーは鈴木啓太、加藤順大、野田紘史、小島秀仁の浦和レッズから4選手とコーチ役の平野孝。

 その5名がまず午前中に向かったのは立根小学校だ。参加児童は立根小学校と隣の猪川小学校の児童たち。会場となった立根小は、大きな被災はなかった小学校である。 

「貯水タンクにヒビが入ったくらいで、大きな被害は幸いにしてありません。ただ、保護者の中には行方不明が一人います。また、会社が津波で流された失業状態の保護者の方が40名いるという状況ですから、被災していないわけでもないんです(立根小・佐々木校長)」 

 直接的な被災はなかったものの、震災の対応に追われる日々が何カ月も続いた。震災から6カ月が経過しようとする中で「子供たちの中にようやく落ち着きが出てきた」と、現状を話す佐々木校長。完璧とはいかないまでも、子供たちが落ち着きを取り戻し始めた背景の中には、震災前と同じ学校状況に可能な限り戻していけたことが大きかった。 

「例えばプール。この辺りは水源が全部同じなため、近隣に仮設住宅が建ったことでプールを使用すると水が足りなくなる恐れがあって使えなかった。子供たちのためにも何とかしたいと思っていたら、地域の皆さんが節水に協力してくれました。他にもいろいろな問題をクリアして、教育委員会と水道事業所からOKが出て、なんとかプール開きを迎えたんです」 

 一般の方たちにも開放した立根小学校のプールは、例年の半分の期間しか使えなかったにもかかわらず、利用者は4000人を超えるほどの人気スポットであった。それだけ地域の方々に喜ばれたことに対して佐々木校長は「すべては地域の方々のおかげ。大人への感謝の気持ちを忘れないように」と、夏休みを終えた子供たちにそんなメッセージを伝えたそうだ。 

 そうした想いを受けて始まったキャラバンに対して、「今、大人たちは元の大船渡にしようと頑張っています。私たち子供も家の手伝いをして家族のために頑張っています。今日は皆さんからの元気をもらって、家族にも元気を伝えたくて参加しました。元気いっぱいにプレーして大船渡を元気にしましょう(みれい/ちなつ・6年生)」と、選手に話す2人の児童代表。いろんな人たちが支援してくれることを当たり前と思わず、感謝の気持ちを持ってほしいといった願いは、子供たちの中にもしっかりと届いていた。 

 選手たちに大きな声であいさつを終え、いよいよ始まったサッカーキャラバンは、「ジョギング」「ダルマさんが転んだ」「ボールリレー」のウオーミングアップからスタート。その後、選手との距離がぐっと近づいたところで、最後は選手との試合の開始。要所要所で見せるプロのプレーに、各チーム一丸となってボールを追いかけ、ゴールを目指す。 

「今日は見ていてもすごく楽しい。もっとこういう機会が増えてくれれば(3年生保護者)」
「チームプレーの大切さを選手たちから今日は学んでほしい(1年生保護者)」
「今日をきっかけに何かやりたいことが見つかってくれれば(1年生保護者)」 

 これまでのキャラバン以上に“チームで楽しむ”“選手と触れ合う”といった部分を強調していた今回のサッカーキャラバンは、日頃サッカーに触れる機会の少ない大人が見ていても楽しいプログラムであったようだ。キャラバン終了後、選手たちからチャリティブック、Tシャツ、サイン入りボールを受け取った子供たちの中にも、6カ月経過したからこそ発することができている言葉が端々に混じっていたように思える。 

「今日はシュートができてよかった。今日の元気を僕も送っていきたい(しんた・3年生)」
「今日は点がとれてすごく楽しかった。今日の元気を家族に送りたい!(そうま・3年生)」
「チームで力を合わせて、みんなで頑張れたことが本当によかった(ちなつ・6年生)」 

 仮設住宅が完全に撤去されるまで2、3年かかると言われている被災地の現状の中、選手たちが一番伝えたかったのは「今日の元気をこれからの生活に生かしてほしい」といったこと。それを伝えるキャラバンができることは、子供たちが夢中になれる時間を一つひとつの地域に作っていくこと。それだけじゃない。子供たちが被災で失ったメンタルを失う前以上に強く、伸ばしていくことも、ふれあいサッカーキャラバンが持っている力だ。 

「驚いたのは、選手たちの指示を子供たちがしっかりと聞いて動いていたことです。やっぱり心を惹きつけられるものがあると、子供たちは素直な心で大人に接していくんですね」 

 佐々木校長は、初対面の選手に対して積極的に接していく子供たちの姿をみて「大船渡の子供たちが本来持っている良さは素直な心である」と、再発見できたことに喜んでいた。


あいさつは選手会の副会長、鈴木選手

子供たちを一生懸命にまとめる加藤選手

大きな小島選手を見上げる子供たち

子供たちから大人気の野田選手
名称ふれあいサッカーキャラバン“サッカーの力で日本を元気に!”
主催一般社団法人 日本プロサッカー選手会
支援活動パートナージブラルタ生命保険株式会社
ゼビオ株式会社
協力大船渡市立立根小学校
開催日時2011年9月4日(日)11:00~
コーチ(OB)平野孝(日本プロサッカー選手会 執行役員)
現役選手(4名)鈴木啓太(浦和レッズ)
加藤順大(浦和レッズ)
野田紘史(浦和レッズ)
小島秀仁(浦和レッズ)

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