チャリティーサッカーニュース

――震災発生から3年以上が経過しましたが、復興支援に対する考え方を聞かせてください。

石川 基本的には震災当時と考え方は変わりません。自分たちにとってサッカーの力は大きいですし、それに対して共感を得て一緒になって活動を支援し、協力してくださる方々がいるので、その方々と力を合わせてやっていく。何より現地の方々が喜んでくれればという思いです。そうやっていく中で刺激を受け、いろいろなことを学べているので、自分たちにとって大切な活動になっています。

――実際に被災地の方々とふれあった時に、何か感じたことはありますか?

石川 自分が思ったよりも前向きな印象を受けました。震災直後ではなかったので、すでに前向きになってから会っただけかもしれません。ただ、僕たちが想像した以上のものを持って生きているので、その悲しみがふとした瞬間に垣間見えるということもありました。僕の岩手の友人も震災で家を失い、知り合いの方もたくさん亡くなってしまいました。その友人に会いに行って話を聞く機会もありましたが、なかなかそれだけの出来事を一緒になって共感するのは難しいこと。ただ、すごく前向きで次に向かって生きていく姿勢は自分たちにとっても力になりますし、その力をサッカーの力で返したい。復興支援の試合だけではなくて、サッカーを見に東京に来てくれたり、仙台での試合に岩手から来てくれたり、そういうつながりもできました。自分にとっては活動をとおして逆に力をもらっているというのが本音ですね。

――被災をしていない人は壮絶な災害の大きさを実感しにくいのが実情でもあります。

石川 誰もがそういう思いだと思います。僕もこういう活動機会がなければ、知り合いもいないので実感するのは難しかったでしょう。ただ、きっかけは何でもいいんです。僕たちの場合は“サッカー”。サッカーの力でパワーを与えることもできますし、逆にもらうこともあります。そのつながりでサッカーに興味を持った人もいるし、応援してくれる人もいます。だから動き出すのが早いとか遅いではなくて、とにかく現地の人や日本がどれだけ前を向いて進んでいけるか。今まできっかけがなくて、何もできなくてもどかしい思いをしている人がサッカーを通じてアクションを起こせるといいなと思います。ジャストギビングやチャリティーオークションは間接的な支援に思われますが、その気持ちは直接の活動費になっています。どんな形でも協力することはできるはずなので、一つのきっかけにしてほしいですね。

――チャリティーサッカーを開催する意味は何だと思いますか?

石川 未だに仮設住宅で生活している人もたくさんいます。一日の中で震災のことが頭をよぎって不安になる時間がまだあると思います。もしかしたらその人にとって、スタジアムでサッカーを見るということが非現実的なことかもしれませんが、ただ、その道のりで、スタジアムで実際にサッカーを見て、帰るまで震災のことを考えなくていい時間になるかもしれません。そういう時間を作れるだけでも、自分たちにも有意義な時間になります。そういう素晴らしい、幸せな時間になればと思っています。

――FC東京からは太田宏介選手、武藤嘉紀選手が出場しますが、彼らに期待することは?

石川 僕も2人の出場を楽しみにしています。FC東京から胸を張って送り出せる選手ですから。彼らは「いきますよ!」と立候補してくれて僕自身は本当にうれしかったですし、きっと僕やFC東京ファンだけではなく、日本代表でもあるので日本中の注目度が高まっていますから。選手である僕も楽しみなので、参加できないのは残念なくらいですよ。きっとFC東京のファン・サポーターも見に来てくれる人もいると思うので、東京ファミリーとしても盛り上げてほしいと思っています。ただ、チームとしての一番の心配はユニフォームの色ですね(笑)。たぶんFC東京のファン・サポーター以外は気がつかないかもしれませんが、「あれ?」と違和感を覚えるかもしれませんね。ある意味、なかなか見られないレアな姿なので、その姿も楽しんでもらえればと思います。